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描くことでひろがる喜び。生きがいを育む時間。芸術と福祉

2026.3.19

ぴーぷるファンには、週に1回、紙に向かい、それぞれが思い思いに絵を描く時間があります。好きな色を選び、線を重ね、形を描く。同じ紙や画材を使っていても、生まれてくるものは一人ひとりまったく違います。

絵画教室を始めたのは2022年。心や生活の変調を訴える利用者さんに、絵を描くことを通して、ストレスを和らげ、生きがいややりがいにつながる時間を持ってもらいたい。日々の作業だけでなく、暮らし全体の充実につなげたい。そんな思いから、芸術文化活動の取り組みが始まりました。

続けていく中で、さまざまな変化が見えてきました。
これまで活動に消極的だった方が、絵画教室では黙々と集中して描いている。時間いっぱい座って、夢中で手を動かしている。小さなスケッチブックに描いていたのが「大きな紙に描きたい!」という声が出てくる…
そんな姿を目にするようになりました。

教室を始めて半年後に出展した「きらりアート展」では4名が賞をいただきました。それをきっかけに、「僕も来年は賞をもらいたい」「私も絵画教室をやりたい」と話す方も増え、絵を描くことへの関心が少しずつ広がっていきました。

いまでは、創作の時間から生まれた作品は、贈答用のお菓子を包む「包装紙」としても活躍しています。日々描いていた一枚の絵が、今度は誰かへの贈りものを包むものになる。描いた場所を離れ、人の手に渡り、知らない誰かの目に触れていく。絵が暮らしの中へ出ていく、とても自然で楽しい形です。

ぴーぷるファンでは、絵を描くことをはじめ、利用者のみなさんが自分なりの方法で表現できる時間を、これからも大切にしていきたいと考えています。福祉の場で行われる創作を、「何かができるようになるための活動」だけにしてしまうと、そのおもしろさを少し取りこぼしてしまうようにも思います。

ただ、描くことが好きだから描く。 夢中になれるから続ける。 そして、できあがったものを見た誰かが、「この絵、いいな」と感じる。描いた人と、絵を見る人。その関係はとてもシンプルです。
芸術には、言葉だけでは見えにくかったその人らしさを、そっと見せてくれるところがあります。
「この人は、こんな色が好きなんだ」
「こんなふうに世界を見ているんだ」
作品を通して、これまで知らなかった一面に出会うこともあります。
描く時間そのものを大切にすること。そして、そこから生まれたものが、その人の手を離れ、誰かの暮らしの中へ広がっていくこと。
ぴーぷるファンにとっての芸術は、特別な人だけのものではなく、一人ひとりの中にあるものと出会うための、暮らしの一部になっています。